大阪市の相続実績ある西川一博税理士事務所

年金収入の方は確定申告しなくていいのか(1)

今年も確定申告が始まりました。
われわれ税理士にとって、一年で一番の行事であり、注目される時期です。
下世話な言葉で言えば、稼ぎどきであります。

今年大きく変わった点は、年金収入の方は確定申告をしなくてよくなったことです。

そもそも、年金だけの収入の方でも確定申告しないといけませんでした。
それは、年金からも所得税は天引きされていましたが、あくまでも仮に引いていただけで確定申告して精算する必要があったからです。
私どもが納税相談に出向くたび、年配の方々にとって酷な制度だと思っておりました。
それが、申告しなくてよくなったというのは朗報でした。

ただし、年金収入の方全員ではありません。
① 年金収入の額が年間400万円以下であること。
② 年金以外の所得が20万円以下であること。

年金収入が400万円を超える方は少数ですから、多くの方が該当しそうです。
②について少し気を付けてください。
あくまでも所得が20万円以下です。
収入が20万円以下ではありません。

収入と所得は違う概念です。
商店でいう、売上が収入であり、利益が所得になります。
給料でいえば、85万円の収入が20万円の所得となります。
このことについてはいずれ詳しく説明していきたいと考えておりますので、ここではこのくらいで。

さて、この二つの要件に該当された方は申告しなくていいのです。
じゃあ、税務署にいかなくてよくなった、よかった、よかった。
確かにそのとおりなんですが、少しお待ちください。
年金等の源泉徴収票の源泉徴収額の欄を見てください。
税額がありませんか?

税額が0円の方は税務署に行く必要はありません。
仮に計算し直して納税額が発生しても申告しなくて構いません。

ところが、税額がいくらかでもある方はお待ちください。
医療費、社会保険、生命保険、寄付金等を支払った方は税金が戻ってくるかもしれません。
戻ってくる方は税務署へ行きましょう。

つまり、計算して納付すべき税金が出る方は申告せず、税金が戻ってくる方は申告しましょう。
この制度はそういうふうに考えてください。